夫が出会い系で浮気してた

子あり四十路女。若い女の子に目がない夫と冷めた生活を継続中。

失踪願望とテレビドラマ

家事が苦手で、つねづね失踪に憧れている。

元から生活するのが下手だった。両親にもその気配がかなりあって、今思えばまさに機能不全家族という感じ。

そんな人間がなんとなく結婚してしまって、己の生活力の低さをあらためて思い知っている。

夫の母は家事全般がとても上手だ。

整理整頓も料理も家計管理もばっちり。コミュニケーション能力も高い。人徳ゆえか、やたら運も良い。すごい有能。

義母の生活ぶりを見るにつけ、自然な動きに組み込まれた家事スキルにいつも驚かされる。ちょっとした合間に掃除。ごみはすぐにまとめる。てきぱきと片付けられるさまが気持ちいい。

そんな義母のもとで育った夫は、まったく整理整頓が身に付いていない。綺麗好きではあるが、自ら積極的に綺麗にすることはない。

残念。おそらく義母がすべて自然にやってしまったために、部屋が綺麗なのは夫にとっては自然現象のようなものなのだ。それにもっとはやく気づくべきだったのだ。

結婚前の私は、夫となる相手の母親がこんなに掃除が得意なら息子に遺伝してるにちがいないと思い込んでしまったのだ。あほな私。

かくして、掃除が苦手なもの同志が夫婦となって同居、部屋はいつも散らかり、我が家は大変な状況に。

ひとりぶんだけでも無理なのが、夫や子供のぶんまで片付けないといけない、さらに小学校からは毎日のように広告を含むプリントが届いて積もっていく、毎日の食事、洗濯、無理、逃げたい。消えたい。ひとりになりたい。もしくは毎日使いきれないほどのお金が降ってきてそれで家事をやってくれる人を雇いたい。

失踪願望が浮かんでは消える。

夫はどうでもいいけど、子供をおいていくのは気が引ける。一生後悔するだろうし、心臓に墨汁を垂らしたみたいにずっと暗い気持ちが消えないままひとりで暮らす覚悟もない。

だけど、こないだドラマで衝撃的なものを見てしまって。

「僕らは奇跡でできている」なんですけどね。高橋一生の。

ドラマで明言はされていないんですけど高橋一生演じるカズキ35歳は何らかの発達障害というか、自閉症スペクトラムというか、生きづらさを抱えている人なんですよね。

家には20年間カズキのお世話をし続けている山田さんという家政婦(戸田恵子)がいて。

カズキは親を小さい頃になくして、陶芸家の祖父のもとで森の自然とともに育ち、動物好きをいかして大学の講師をやっている。

カズキのマイペースな行動に周囲は振り回されながらも、ある意味ぶれないカズキの言動に己を見つめ直すきっかけをもらう…みたいなしみじみと良いドラマなんです。

しかし最新話。山田さんは単なる家政婦じゃなく、カズキの実の母親だってことが明かされまして。腰抜かしました。

話によると、カズキが3歳の頃にカズキの父親(山田さんの夫)が亡くなり、カズキ4歳時に山田さんが育児ノイローゼになり失踪。

えええ…。

山田さんはカズキの育てづらさ、他の子と様子がちがうのに胸を痛めて、カズキの祖父母(山田さんの義父母)に託して失踪したんだとか。

それから11年後、カズキの祖母が亡くなったことを知った山田さんは祖父からの後押しもあり、家政婦としてカズキの世話をすることに。自分への戒めとして、母親だとは名乗らずにカズキが15歳から現在の35歳になるまで家政婦として接してきた。

しかし、カズキは20歳のときに戸籍をみて山田さんが実母だと知ったそうです。

 

すごいヘビーな話に思えるし、実際そうだろうと思うんですがドラマでは「全体的に赦し」の雰囲気で描かれていて、なんか、なんかな…と。

そりゃ、子供本人が「僕はお母さんのことが大好きだったんだ(微笑み)」と全面的に赦しているなら、本人同士がそうならいいのか…? 現在のカズキに山田さんへの恨みは一切感じられず、立派な大人になってやりたいことを仕事にできている幸せな状況だからオッケーなのか?

 

見てからずっとモヤモヤしてる。

夫が亡くなった翌年に4歳の一人息子を置いていくこと。

今から20年前以上昔の日本で、子供の発達障害への理解はほぼないに等しいのかもしれない。だからって、置いていくほどなのかな。4歳っていったら年中さんくらいだよね。集団行動ができなくて困るのはもうちょっと後の小学生くらいからじゃないか。祖父母、息子を亡くしてすぐに孫育てするのめちゃ大変だったんじゃないの。

あー、こういう「一般論」がさらに山田さんを苦しめたんだろう。

ただ、同じく失踪願望を抱えている私からしたら山田さんすごい恵まれてるよねって思っちゃう。

11年後に戻ってきても母親と名乗らないことを自分への罰みたいに言ってたけど。見方によっては母親の荷を外したまま、子供のそばにいられるってことでしょ。

むしろ小さい頃に父親だけじゃなく母親まで亡くなったと思いこまされていたカズキさんは不幸ではないのか。時間は戻らない。いくら変わった考え方をするからとはいえ、それがいい方向にばかり傾きすぎてるというか。ま、ドラマだからあえてそういう奇跡を、ってことなんでしょうかね。

 

同じドラマを見ていた夫に「これってもし私が失踪したとしても誰も不幸にならないってことだよね?」と確認してみたところ「ドラマだから」と返答されました。明日からも引き続き、失踪したくなるほど家事はしないことに決めた。