恋はしなくとも夢をみていたい
わたしには夢がある。
いつか本を出版したい。
そんな夢。
十年以上まえ、はじめてインターネットにふれたときにわたしはすごく興奮した。
いろんなところにいる、いろんな人の考えをこうして読むことができるなんて! って。
それは本よりも刺激的で、テレビよりもリアルで、新聞よりも新鮮だった。これほど面白いものが見られるならインターネットだけでいいじゃない、と本もテレビも見なくなった。
でも、今のインターネットってあのころほど見ていてワクワクしない。
それはわたしが年を取ったせいだろうか。インターネットメデイアが大きくなってテレビや本や新聞、あらゆるものを食らいつくしてしまったせいだろうか。
あの頃、わたしが重きをおいていた「データは残る」というのもあやしくなってきた。データはほとんど残らない。データは儚い。残り続けている古いデータに、昔ほどの迫力はない。更新されなければそれはただの古ぼけたデータだ。本やレコードは古ぼければ古ぼけるほど凄みが増すけれど、データは案外そうじゃないことがこの十年くらいでわかってしまった。
それでいまあらためて見る夢が、本を出したいなーということ。
本はさわれる。本はごみに出されたら燃えちゃうけれど、人の手から手にわたるなどして案外残る。思わぬ誰かが読むかもしれないし、誰にも読まれないかもしれないけど、かたちとして存在する。
そこにものすごく憧れる。
なにが書きたいのか、まずそこからだけど。(そこからかーい)