あきれるほどにそうさ音痴そう、わたしも
夫はよく家のなかで歌を口ずさむ。
夫の歌は音程が外れている。
途中まで合っていても、ふとした部分から外れてそこからキーが変わる。
予測できないメロディの上下。
ある日、意を決して夫に告げた。
「音、外れてるよ」と。
夫はとくに傷つく様子もなく「知ってるよ」と答えた。
髪の毛に寝ぐせついてるよ、とでも言われたみたいに。
音程がかなり外れていること、知ってるよ。って。
しかしわたしは疑っている。
音程が外れていることを知ったからには、直そうとするはずだ。いや、直さずにはいられない。
ちょっとやそっとじゃない。
わたしだって、完璧な音程で「らいおんハート」を歌えるかと言われたら、百点満点など到底出せない。
いいとこ88点くらいだと思う。音程の正確度としては。カラオケの採点でうんと調子がよければ95点くらいは出せる。
そうだ、採点だ。
夫がカラオケの採点機能で歌うところを今までに何度か見た。
夫の平均点は85点くらい。
あれ?
わたしとあまり大差がないな。