人はどういうときに光って見えるのか
小学生(!)で恋に落ちる少女と少年の物語。
そのなかでとても気になる描写があった。
ヒロインの夏芽が夜の海でコウちゃんを初めて見たときに、ものすごく光っていたのだ。浜辺からあがってきて半裸だったとはいえ、夜の海ってものすごく暗いのに。すごいキラキラと。その後も夏祭りで天狗の面をかぶって大暴れをするコウちゃんを見ては「あ…また…!」とばかりにキラキラを感じ、夏芽は『わたしの神さん』とばかりに恋に落ちる。
コウを好いている女の子は夏芽のほかにもいる。太った容姿で冴えないカナちゃん。そしてカナもまた、コウを好きな理由が「光って見える」からで『わたしの神さん』、夏芽と丸かぶりである。
しかしそのコウちゃん、家柄は確かに地元一の資産家である意味『神さん』みたいなものだけど、ひどく暴力的。気まぐれ。女は自分を慰める道具としか思っていないようなところも見受けられる。夏芽に対する態度もコロコロ変わる。読者としては何一つキラキラルを感じられないのである。
それで頑張って自分の体験を思い出そうとしたのだけど、異性がキラキラして見えたことってほとんどない。夫に感じたこと、ない。付き合った人に感じたことも、ない。女性はたまにキラキラして見える。表情や話し方がすごくイキイキしてたりとか。あ、息子はわりとキラキラして見える存在なのかもしれない。うれしいときに跳ねながら目をくりくりさせているときとか。
うーん、異性で、キラキラ……。
あ、思い出した。ライブで見た岡村ちゃんはすごいキラキラしてた。汗がね、すごかった。ああいうのを見てクラッとする感じかー。そりゃ人生がめちゃめちゃになるような恋に落ちてしまうかもしれない。